
2025年10月の「経営・管理ビザ」要件厳格化により、新規申請が96%も激減した事実をご存知ですか?資本金の3000万円への引き上げなど、審査基準が過去に例を見ないほど大幅に変更されました。
本記事では、TBS NEWS DIG(2026年5月8日報道)の最新データをもとに、この厳格化が企業の外国人採用に与える影響と、人事・採用担当者や経営者が今すぐ取るべき具体的な対策をわかりやすく解説します。この記事でわかる3つのポイントはこちら
・経営・管理ビザの最新の変更点
・外国人採用への具体的な影響
・優秀な人材を確実に見極め・確保すべきか
経営・管理ビザの厳格化とは?
「経営・管理ビザ(日本で起業したり、事業の経営・管理を行ったりする外国人のための在留資格)」は、日本でビジネスを展開したい外国人にとって重要な資格です。
しかし、近年このビザ制度を悪用するケースが問題視されていました。具体的には、ペーパーカンパニー(事業活動の実態がない名ばかりのダミー会社)を設立し、不法な就労や不正な移住の手段として悪用する事例です。
こうした事態を重く見た政府は、適正な制度運用を目的に、2025年10月に取得要件を大幅に厳格化しました。具体的に何が変わったのか、重要な2つのポイントを解説します。
資本金が3000万円に引き上げ
もっとも大きな変更点は、設立に必要な資本金の大幅な引き上げです。
厳格化される前は、資本金「500万円以上」であれば申請が可能でした。しかし、新たな要件では「3000万円以上」へと引き上げられました。実に6倍もの資金が必要となり、単なる思いつきや小規模な個人事業レベルでのビザ取得は極めて困難になっています。
また、「3000万円」という金額は、単に銀行口座に用意すればよいというものではありません。その資金がどのように形成されたのか(自己資金か、投資家からの調達か)という出所証明も入国管理局から厳しく審査されます。真に日本経済に貢献し、確固たる事業基盤を持つ事業のみを受け入れるという国の方針が浮き彫りになっています。
常勤職員の雇用が必須に
資本金の引き上げに加えて、常勤職員の雇用も義務付けられました。
これまでの制度では「資本金500万円以上」という条件を満たせば、従業員を雇わなくても経営者単独でビザを取得できるケースが一般的でした。しかし新制度では、日本国内での実際の雇用創出が強く求められます。
具体的には、日本人や永住者などの「就労制限のない人材」を常勤として雇用し、社会保険に加入させるなどの実態が不可欠となります。これにより、事業の立ち上げ初期から多大なランニングコストが発生することになり、ペーパーカンパニーによる不正取得を防ぐための強力な歯止めとして機能しています。
新規申請が96%減少した背景と現状
この厳格化は、実際のデータにも顕著な影響を与えています。現状の数値を分析します。

申請数は月70件まで激減
法務省関係者への取材による報道データによると、厳格化前後の5か月間を比較した結果、新規申請件数が劇的に減少しています。
- 厳格化前(5か月間平均):月間およそ1700件
- 厳格化後(5か月間平均):月間およそ70件
このように、申請件数はおよそ96%減という驚異的な落ち込みを見せています。500万円というハードルから3000万円へと一気に引き上げられたことで、これまで「とりあえず日本で起業したい」と考えていた層のほとんどが申請を断念したと考えられます。
許可は上場企業の役員クラスへ
申請数が激減する中、現在どのような層が新たに申請を行い、許可を得ているのか現状を見ていきます。
報道によれば、厳格化以降に許可されたのは「上場企業の役員クラス」に該当するエグゼクティブ層が中心となっています。豊富な資金力と明確な事業計画、そして確かな実績を持つトップクラスの経営人材でなければ、新規での経営・管理ビザ取得は事実上不可能に近い状態へとシフトしています。
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外国人採用への影響と企業の対応策
「経営・管理ビザ」の話題は、一見すると一般的な従業員を採用する人事担当者には無関係に思えるかもしれません。しかし、この厳格化は日本の外国人労働市場全体に大きな波及効果をもたらすと考えられます。企業が取るべき外国人採用戦略への影響を解説します。

既存の経営者が労働市場に流入する可能性
現在、日本で長年働いてきた小規模な外国人経営者からは、「次のビザ更新時に資本金の引き上げ要件を満たせず、帰国を迫られかねない」という不安の声が上がっています。
こうした状況下で、すでに日本で数年間、事業を営んできた外国人経営者たちが、事業の継続を断念し「一般企業の従業員として就職する道」を選ぶケースが増加すると予測されます。
彼らは、単なる労働力ではなく、「自ら事業を立ち上げ、日本の商習慣を理解し、顧客を開拓してきた」という貴重な経験を持つビジネスパーソンです。母国語に加えて日本語や英語などの多言語を操る人材も少なくありません。
企業の採用担当者から見れば、海外進出を担うグローバル営業担当や、外国人従業員をまとめるマネジメント層として、即戦力となる可能性を秘めています。この法改正を「優秀なバイリンガル人材が転職市場に流れてくるチャンス」と捉えることで、他社に一歩リードした採用戦略を描くことができます。
就労ビザとの違いを再確認
外国人を従業員として採用する際、企業が主に扱うのは「技術・人文知識・国際業務(一般的な企業でのオフィスワークや専門業務に就くための就労ビザ)」などの資格です。
経営・管理ビザが厳しくなったからといって、一般の就労ビザの要件が直ちに同じレベルで厳格化されるわけではありません。しかし、出入国在留管理庁の審査全体が「不法就労の防止・コンプライアンスの徹底」という方向に向かっているのは確実です。企業側は、自社が採用する人材の在留資格(外国人が日本に滞在し、特定の活動を行うための法的な資格)について、より一層の正しい知識を持つ必要があります。
自社の採用コンプライアンスを見直す契機に
政府がビザの要件を厳格化する背景には、「適正な外国人材のみを受け入れる」という強い意志があります。これは、採用する企業側への監視の目も厳しくなっていることを意味します。
審査が厳しくなる社会情勢の中、企業側も「適正な雇用」を強く意識しなくてはなりません。
- 在留カードの確実な確認: 面接時および入社時に、在留カードの原本を確認し、就労制限の有無や在留期限を必ずチェックします。
- 業務内容とビザのマッチング: 採用予定の業務内容が、外国人が保有するビザの範囲内に収まっているかを精査します。
- 不法就労助長罪の防止: 万が一、許可されていない仕事をさせてしまった場合、企業側は「不法就労助長罪(外国人に不法就労活動をさせた企業などを処罰する法律)」に問われるリスクがあります。

国がビザの厳格化を進める今こそ、自社の採用フローにおける法的リスクを再点検するベストなタイミングです。
まとめ
「経営・管理ビザ」の申請数が96%激減したというニュースが示す通り、外国人採用に関する法令や審査基準は突然かつ大幅に変更されることがあります。古い情報に基づいた採用活動は、予期せぬトラブルやコンプライアンス違反のリスクを伴います。
「ビザの手続きが複雑で不安」「自社の採用体制が法令を満たしているか心配」といったお悩みを抱える人事・採用担当者や経営者の方は、ぜひ専門家にご相談ください。最新の審査傾向を踏まえた専門的なサポートを活用することで、法的リスクを回避し、自社に最適な人材を安全かつスムーズに迎え入れることが可能になります。
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