注目のウズベキスタンIT人材、採用のポイントと受け入れコツ

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外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!

・ウズベキスタンのIT人材育成が進む背景
・採用後の注意点と配慮
・歴史的背景から学ぶ姿勢

シルクロードの要衝、ウズベキスタン。いつも日本に温かい眼差しを送っている親日国です。2012年に技能実習生に関する合意書が締結されましたが、日本に送られる技能実習生の数はごく少数でした。その理由は、ウズベキスタン政府が「日本でのウズベキスタンのイメージを悪くしたくない」「日本に迷惑をかけたくない」と考え、厳選した人材のみを送り出していたからです。現在は日本に向けたIT人材の育成が功を奏し、日本人と同じレベルで仕事ができる即戦力を輩出できるようになりました。日本語と日本文化を学んだウズベキスタンの若者は、今後間違いなく日本で活躍し、日本経済を支えてくれるでしょう。

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ウズベキスタンの基本情報

ウズベキスタンは中央アジアに位置し、カザフスタンやキルギス、タジキスタン、アフガニスタン、トルクメニスタンに囲まれています。

面積は日本の約1,2倍、人口は日本の3割余り。国民の6割が30歳以下で人口はどんどん増加しており、2030年代まで人口ボーナス期が続くと予想されています。

項目内容
国名ウズベキスタン共和国(Republic of Uzbekistan)
国土44万8,969平方キロメートル
国旗青(空と水)、白(平和・純潔・清潔)、緑(農業・自然・イスラム教)、赤(生命力)、三日月(イスラム教)、12個の星(12ヵ月、昼夜12時間、多様な民族)
首都タシケント(Tashkent)
人口3,700万人(2025年JETRO資料)
民族ウズベク系(84.4%)、タジク系(4.9%)、カザフ系(2.4%)、カラカルパク系(2.2%)、ロシア系(2.1%)等(2021年:ウズベキスタン大統領付属統計庁)
言語国家語はウズベク語。ロシア語も広く使用。
宗教イスラム教スンニ派
一人当たりGDP2,820ドル(2023年:IMF)

二重内陸国とIT産業

ウズベキスタンは、世界に2か国しか存在していない二重内陸国です。国境を接する全ての国に海が無いため、最低2回国境を越えないと港に行くことができません。そのため輸出入コストが嵩み、経済成長が困難になるという問題を抱えています。

そこで政府は、物流が必要ないIT事業に着目しました。インターネット環境さえあれば全世界を相手に取引することが可能と考え、少子高齢化が進む先進国をターゲットにIT人材の育成を開始。デジタル技術省は特に日本を重視し、2024年に外国人として唯一、日本人を大臣顧問として招き入れました。IT人材が圧倒的に不足している日本企業と、就職先が限られているウズベキスタンの優秀な若者とが相互補完できる関係を目指しています。

ウズベキスタン人材の特徴

ウズベキスタンは、日本に向けたIT人材の育成に力を入れています。日本企業が出資しウズベキスタン政府の協力のもとタシケントに「日本デジタル大学(Japan Digital University)」が開校されました。IT技術はもちろん、日本語や日本文化・習慣・考え方も学ぶことができます。

学生は日本で就職するための素養を身に着けて卒業し、日本人と同じレベルで仕事できる即戦力となります。日本のいくつかの大学とも提携しており、授業を受け単位取得が可能です。ウズベキスタンと日本の大学卒業資格を得ることができるため、日本の就労ビザ取得が簡単になります。

ウズベキスタンが日本へ送り出している人材は年々増加していますが、他国と比べるとまだまだ少数です。2023年度の新規入国人数は、技能実習179名、特定技能34名、技術・人文知識・国際業務734名と報告されました。

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ウズベキスタンの社会

シルクロードのオアシスとして古くから栄えたウズベキスタンは、様々な文化や民族が入り混じった社会です。ペルシャ文化はウズベキスタンの建築様式や文学、芸術に影響しています。

日常生活や宗教的価値観、教育や思想などはイスラム文化によるもの。社会体制や政治、都市計画などは旧ソ連時代のものが今でも色濃く残っています。多数派のウズベク人を中心に、いくつもの民族が平和に共存しています。

歴史

ウズベキスタンには、ユネスコ世界遺産に登録された美しい古代都市サマルカンドがあります。砂漠のオアシスとして、紀元前から繁栄していました。ペルシャ、トルコ、モンゴルなど周辺国から影響を受け、支配されたり分裂したりと複雑な歴史があります。

19世紀にロシアが進出して併合、1924年に「ウズベク・ソビエト社会主義共和国」としてソ連に編入されました。1980年代に始まったペレストロイカや東欧革命を機にソ連が崩壊し、1991年にウズベキスタンが独立しました。

宗教

国民の約9割近くがイスラム教スンニ派です。他に、少数ですがイスラム教シーア派やロシア正教、ユダヤ教、仏教、キリスト教なども存在しています。

ウズベキスタンのイスラム教は独自に発展しました。ペルシャ文化やトルコ文化との融合や旧ソ連の体制が影響し、戒律は厳しくありません。飲酒する人も多く、女性も自由な服装が許されています。ラマダン(断食月)や1日5回のお祈りも実行する人は少なく、豚肉もそれほどタブー視されていません。

イスラム教過激派とは一線を画し、入国させないよう取り締まっています。このように、ウズベキスタンのイスラム教は穏健で政治への影響もあまり無いと言えますが、日常生活はイスラム教的価値観に従って営まれています。家庭や地域で問題が生じると、イスラムの教えに則り解決されます。

ウズベキスタンの国民性と仕事観

古代から多様な文化が行き交ったウズベキスタン。そこで暮らす人々はとても社交的で、客人をもてなす伝統があると言われています。ウズベキスタンの国民性と仕事観を見てみましょう。

国民性

陽気で人懐っこく、親切。「客人は自分の父親以上に丁重におもてなしせよ」「お金よりも友達が大事」という意味の諺もあり、人間関係を重視しています。3世代の大家族で暮らす人々が多く、家族を何よりも大切にし、長老はじめ年長者に従順です。

忍耐強さは美徳とされ、ウズベキスタンで何度も放映された日本のドラマ「おしん」は人気を集めました。

仕事観

家族のために仕事し、安定した生活を求めています。順応性が高く、新しい仕事でも躊躇せず向上心を持って取り組み、長時間労働も厭いません。

その一方、ウズベキスタン社会では家族の為に仕事を休んだり、時間にルーズなことも許されており、日本的価値観とは違う面があります。

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ウズベキスタン人と一緒に働くときの注意点

ウズベキスタンは建国以来、日本をお手本に国造りをしようという動きがあります。日本にやってくるウズベキスタンの若者は、日本の技術を学ぶことに意欲的です。受け入れる我々は、どのような点に注意するべきでしょうか。

職場で注意すること

指示は簡潔に、わかりやすく行ってください。強い口調で注意されるとショックを受ける人が多いので、冷静に穏やかな口調を心がけること。

親密な人間関係を求めるので、職場の人々と仲良くなれる時間や場を設けるようにしましょう。

生活で注意すること

ウズベキスタンの9割はイスラム教徒ですが、戒律をどの程度守るかは個人にゆだねられています。お祈りやラマダン(断食月)、食生活など、どうしたいか本人の意見を聞いてください。

また、ゴミの分別やトイレ・浴室の使い方など、日本の生活習慣をわかりやすく教える必要があります。

日本とウズベキスタンの関係

日本とウズベキスタンは、戦略的パートナーシップの関係です。ウズベキスタンは地理的にも経済的にも中央アジアの中心にあるため、日本の協力は周辺国にも波及効果があります。

ウズベキスタンでは中央アジア諸国に先駆けて日本語教育が開始されました。「ウズベキスタンは日本に片思いしている」と言われるほど、日本を重視している国のひとつです。

日本人捕虜が建設したナヴォイ劇場

第二次世界大戦後、旧ソ連軍によって多くの日本人捕虜が中央アジアに送られました。ウズベキスタンでも各地で日本人捕虜が強制労働をさせられました。発電所をはじめとしたインフラや学校など様々な施設が建設され、現在でも稼働しています。その中に、有名なナヴォイ劇場があります。

大変厳しい環境の中、日本人は真摯に建設に取り組みました。時間通りにやってきてスケジュール通りに仕事をし、こだわりをもって正確に美しく仕上げる日本人の姿に、ウクライナ人は感銘を受けたそうです。「強制労働なのに、なぜあんなに真面目に働くのだろう」と驚き、日本人を尊敬するようになりました。日本人捕虜とウズベキスタン人の心温まる交流も見られ、食べ物を差し入れた子どもに日本人がおもちゃを作ったり、ウズベキスタン人と日本人捕虜が友人関係になったり、恋人になることもあったそうです。日本人抑留者の資料館には、日本人捕虜から作ってもらった木製のゆりかごや肖像画などが大切に展示されています。

1966年にタシュケントで大きな地震が発生しました。街の建物はほぼ全壊しましたが、ナヴォイ劇場は無傷で残り、避難場所として活躍しました。今でもウズベキスタンでは「地震があったら日本人が建てた建物に逃げろ」と言われています。

ウズベキスタンの初代大統領故カリモフ氏は、子どものころ母親に連れられて日本人収容所に毎週行った、と語っています。母親はロシア人兵隊が見てなくても働く日本人の姿を息子に見せ、「お前も日本人のように、人が見ていなくても働く人間になりなさい」と教育されたとか。カリモフ氏はウズベキスタン独立後に大統領となり、「日本人捕虜が建てたものである」と書かれていたナヴォイ劇場のプレートを、「ウズベキスタンは日本と戦争していないし日本人を捕虜にしていない」と述べて作り変えました。新しいプレートには「1945年から1946年にかけて極東から強制移送された数百名の日本国民が、このアリシェル・ナヴォーイ名称劇場の建設に参加し、その完成に貢献した。」とウズベク語、日本語、英語、ロシア語の順で刻まれています。

ウズベキスタンへのODA(政府開発援助)

日本政府はウズベキスタンに、2022年までの累計で有償資金協力約5,280億円、無償資金協力約296億円、技術協力約214億円の支援を実施しました。輸送、電気通信、エネルギーなど社会的に重要なインフラ整備や、教育、医療、人材育成などへ協力し、成果を挙げています。

まとめ

ウズベキスタンは、日本の明治維新や戦後復興をお手本にしようと本気で日本を研究しています。これまでは国策として優秀な若者を日本に留学させていましたが、技能実習生に関する合意書が締結された現在、さらに多くの若者を日本に送りだすよう即戦力の育成に力を入れています。親日国ウズベキスタンの人材を採用することは、日本とウズベキスタン両国の発展につながるでしょう。若くて優秀な人材が豊富なので、継続した派遣が可能です。ぜひご検討下さい。

参考資料
厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)
外務省:ウズベキスタン共和国(Republic of Uzbekistan)基礎データ
JETRO:民間送出機関による技能実習生の派遣始まる(ウズベキスタン、日本)
JETRO:日本に熱視線!? ウズベキスタンのIT人材育成
嶌信彦:『日本兵捕虜はシルクロードにオペラハウスを建てた』
日本ウズベキスタン協会:ウズベキスタンについて

プロフィールカード
プロフィール画像
キャリアアドバイザー
秦 秀斗

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。

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