「会社名勝手に使用」50人分の技人国ビザ不正!リスクと対策

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外国人採用を検討されている企業様にとって、今回の行政書士逮捕のニュースは見過ごせないものです。在留資格「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国)」を悪用した不正申請は、採用企業様が知らぬ間に不法就労助長という深刻なリスクを負う可能性があります。

大切なのは、採用に関わる企業様自身が不正の手口を知り、自社を守るための予防策を講じることです。この記事では、報道された不正事例を基に、知っておくべきリスクと、適切な外国人採用を推進するための具体的な対策を解説します。

この記事を読むことで、以下の3つのポイントを確実に押さえることができます。

「技人国ビザ」不正申請の具体的な手口とリスク
自社が不正に巻き込まれることを防ぐためのチェックリスト
最新の制度見直しに関する動向

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発覚した不正事案の概要

まずは、今回報道された事案がどのような手口で行われたのか、その全体像を理解することが、外国人採用における不正リスクを避ける第一歩となります。(情報源:読売新聞オンライン 2024年1月9日報道)

行政書士逮捕!不正の手口

大阪府警は、在留資格「技術・人文知識・国際業務(技人国)」の手続きで、勤務先を偽って申請書を提出したとして、行政書士の男を逮捕しました。

この行政書士は、ブローカー(外国人材を派遣する仲介者)と共謀し、来日するベトナム人約50人について、虚偽の勤務先を記載した申請書を提出した疑いが持たれています。

不正の手口
  1. 勤務先の偽装:実際には別の会社で働く予定であるにもかかわらず、申請書には府内の金属プレス加工会社を勤務先として記載しました。
  2. オンラインでの提出出入国在留管理庁入管)のオンラインシステムを通じて申請を行っていました。
  3. 不正な報酬:行政書士は、ブローカーから計数百万円の報酬を受け取っていました。

これは、外国人労働者の在留資格の取得という重要なプロセスが、金銭目的で悪用された典型的な事例です。

会社名が勝手に使われた経緯

特に注目すべきは、偽装された勤務先である金属プレス加工会社が、不正な申請に全く関与していなかったという点です。

なぜ狙われたか:この金属プレス加工会社は、過去に技人国の外国人材を多数受け入れた実績がありました。

ブローカーの意図:入管が審査をする際、「過去に問題なく外国人を受け入れている実績のある会社」の名前を使うことで、在留資格の認定を円滑(スムーズ)に進めることが目的だったとみられます。

つまり、企業の実績や信頼が、不正なブローカーによって悪用されてしまったのです。今回のケースでは、会社側が不審に思い入管に相談したことで不正が発覚しましたが、採用企業が知らぬ間に加害者にされるというリスクが浮き彫りになりました。

【注意】不正発覚で企業が負うリスク

採用企業が不正に巻き込まれた場合、知らなかったとしても「不法就労助長罪」(入管法違反)に問われるリスクがあります。不法就労を助長したと判断されれば、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があり、企業の社会的信用も大きく失墜します。

なぜ技人国ビザが狙われるのか

今回不正が発覚した「技術・人文知識・国際業務(技人国)」ビザは、なぜ不正利用のターゲットになりやすいのでしょうか。その背景には、他の在留資格と比べた制度上の特徴と、人手不足が深刻化する日本の現状があります。

制度上の「穴」とは何か

技人国ビザは、専門的な技術や知識を持つ人材を受け入れるための在留資格です。しかし、この制度には以下のような特徴があり、結果的に悪用されやすい要因となっています。

制度の特徴不正・悪用の温床となる理由
日本語レベルの要件なし特定技能技能実習と異なり、申請時に日本語試験の合格が求められません。このため、日本語能力が低い外国人でも取得を試みやすい傾向があります。
特別な管理が求められない技能実習のように、企業側に実習計画の策定や、第三者機関(監理団体)によるチェックが義務付けられていません。企業側の管理負担が少ない分、不正に利用しやすい側面があります。

多くの専門家は、これらの「穴」が悪質なブローカーや企業によって利用され、制度の目的から逸脱した不適切な就労につながっていると指摘しています。

資格外の単純労働の現状

技人国ビザの外国人は、資格で認められた専門的な業務(技術者、通訳、事務職など)のみに従事することが許可されており、単純労働は固く禁じられています。

しかし、人手不足に悩む国内企業の中には、本来は単純労働が許されない技人国ビザの外国人に対し、資格外の業務をさせるケースが目立っています。(例:建設作業など)

資格外活動の主な原因

企業の認識不足:技人国ビザの外国人に、他の資格と同様に現場の単純作業をさせてしまう。
ブローカーの誘導:専門職として入国させた後、実際は人手不足の現場に送り込み、単純労働をさせる。

京都府警でも2023年1月に、技人国ビザの外国人に建設作業をさせたとして、建築会社の役員が入管難民法違反(不法就労助長)容疑で逮捕されています。

企業が「専門職として採用したつもり」でも、実態が単純労働であれば不法就労助長と見なされます。このため、採用企業様は、採用した外国人の実際の業務内容が在留資格の範囲内であることを、常に確認し続ける必要があります。

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不正に巻き込まれないための対策

貴社が適切な外国人採用を推進し、悪質なブローカーや行政書士による不正から会社を守るためには、以下の具体的な対策を徹底することが重要です。

採用企業が取るべき3つの行動

業務内容の「専門性」を厳しく確認する

最も重要なのは、採用する外国人に任せる仕事が、技人国ビザの要件である「専門的な技術や知識」を必要とする業務であるか、厳しく確認することです。

契約と実態の一致:雇用契約書に記載された業務内容(職種)と、実際の現場での業務内容が完全に一致しているかを定期的にチェックしましょう。
単純労働の排除:現場の作業指示において、資格外の単純労働を命じるようなことは絶対に避けなければなりません。
経理部門との連携:給与や役職が、専門職として見合っているかを確認するため、経理部門とも連携し、虚偽の申告がないかを監視します。

申請プロセスを「他人任せ」にしない

行政書士やブローカーに手続きを依頼する場合でも、すべてを任せきりにしてはいけません。

申請書類の確認:入管に提出される申請書(在留資格認定証明書交付申請書など)の写しを必ず入手し、勤務地、勤務先、契約内容が自社の認識通りかを確認します。
進捗の透明性:入管への申請状況を定期的に報告させ、不自然な遅延や、説明のない情報変更がないかを常にチェックします。
外国人の意思確認:採用する外国人本人に対し、「弊社以外の会社で働くことになっていないか?」など、確認の面談を行うことも不正防止に有効です。

過去の採用実績を悪用されない対策

過去に多数の外国人採用実績がある企業ほど、今回の報道事例のように名前を勝手に使われるリスクがあります。

入管への情報提供不審な業者から自社の名前を使って採用実績を聞き出すような行為があった場合は、すぐに出入国在留管理局に相談しましょう。
情報管理の徹底:過去の採用実績や、外国人従業員の個人情報を外部に漏らさないよう、情報管理体制を強化します。

行政書士・ブローカーの見極め方

信頼できる専門家に依頼することは、合法的な外国人採用の生命線です。以下の点を参考に、悪質な業者を排除しましょう。

信頼できる専門家要注意な業者
料金体系が明確で、相場から大きく逸脱していない。「100%許可保証」など、許可を断定するような誇大な広告を出す。
契約書や申請書類の写しを企業側に必ず提供する。契約前に過度な成功報酬を要求したり、料金が相場より極端に安い
入管法や最新情報に詳しく、リスクについて明確に説明する。外国人を斡旋すること(人材紹介)とビザ申請を安易にセットにする。

特に、「すぐに許可が下りる」「面倒な手続きはすべてこちらで行う」といった、手続きの簡略化を過度に強調するブローカーや行政書士には警戒が必要です。

制度見直しと今後の外国人採用

今回の不正事例を受け、外国人材の受け入れ制度全体の見直しが進められています。外国人採用に携わる企業様は、最新の動向を把握し、法改正に備える必要があります。

報告書が示す制度の課題

法務大臣の私的懇談会「出入国在留管理政策懇談会」が2023年12月にまとめた報告書では、技人国ビザについて以下のような現状が指摘されました。(情報源:出入国在留管理政策懇談会 報告書 2023年12月)

「専門的な技術や知識を要しない業務に従事している事案など、制度趣旨と実態に乖離(かいり)がみられる」

これは、本来は高度な人材のためのビザであるにもかかわらず、実際には単純労働に使われるなど、制度の目的に合っていないケースが多数発生していることを示しています。

不正防止に向けた今後の動向

報告書では、技人国ビザの不正利用を防ぐため、以下のような対策を検討すべきだと提言されています。

POINT!
  1. 実態把握の強化:入管は書類審査だけでなく、雇用契約の内容を本人や就労予定先に確認する対応を強化すべき。
  2. 企業への注意喚起:企業に対し、不法就労の助長に当たる可能性があることの注意喚起を強化すべき。
  3. ペナルティーの検討:不正利用を行った企業に対する罰則やペナルティーの強化を検討すべき。

    今後は、企業の採用・管理体制がより厳しく問われる時代になります。入管側も書類審査だけでなく、面談や実地調査を通じて実態を確認する動きが強まると見られます。

    まとめ:適切な外国人採用のために

    今回の不正事案は、外国人採用が単なる人手不足解消の手段ではなく、法令遵守(コンプライアンス)とリスクマネジメントが不可欠な経営課題であることを改めて示しています。

    企業様におかれましては、目の前の採用ニーズだけでなく、長期的な視点に立って、不正のない透明性の高い採用プロセスを構築することが求められます。

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