バングラデシュ人の仕事観と文化を解説|企業が知っておくべきポイント

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バングラデシュのIT人材が注目されています。英語が堪能でIT技術や知識に長けたバングラデシュの若者であることから、JICA(国際協力機構)が「日本市場向けバングラデシュITエンジニア育成プログラム」を2017年から2020年まで実施。その取り組みは現在でも続いており、日本の各自治体がバングラデシュのIT技術者の受け入れを進めています。産学官連携の「宮崎‐バングラデシュ・モデル」や「長崎県モデル」などが構築され、話題となりました。

厚生労働省によると、日本で働く外国人は令和6年10月末時点で過去最高の230万2,587人。ベトナムはじめアジア諸国が大きく数を伸ばしています。その中でバングラデシュはまだまだ少数で、8.7%にあたる「その他の国」にカウントされている状況です。労働力が不足し続ける日本にとって、活力あふれる若者が多いバングラデシュはとても魅力的。親日家で礼儀正しいバングラデシュの若者は、日本を支える大きな力となるでしょう。

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バングラデシュの基本情報

バングラデシュは北西東の三方をインドに囲まれています。南東部はミャンマーと接しており、南側はベンガル湾。ガンジス川が流れる肥沃なデルタ地帯では農業が盛んですが、毎年のように起きる大洪水が全てを流してしまいます。国土は日本の4割ほどで、人口は約1.3倍。人口密度は世界トップクラスの約1,152人/km²、首都ダッカは2,156人/km²にも上ります。

項目内容
国名バングラデシュ人民共和国(People’s Republic of Bangladesh)
国土14万7千平方キロメートル
国旗緑色:緑豊かな肥沃な大地、イスラムの教え
赤色:昇る朝日、独立で流された血
日本の国旗に似ており、1972年に日本人会初代会長へ意見を求めた逸話がある。
首都ダッカ
人口1億7,119万人(2022年、世界銀行)
民族ベンガル人、チッタゴン丘陵地帯には仏教徒系少数民族も居住
言語ベンガル語(国語)。ある程度教育を受けた人は英語も使用可能
宗教イスラム教徒91%、その他(ヒンズー教徒、仏教徒、キリスト教徒)9%(2022年、バングラデシュ統計局)
一人当たりGDP2,688ドル(2022年、世界銀行)

バングラデシュ人材の特徴

親日国として知られているバングラデシュ。日本好きな若者が多く、日本で就職することを夢見ています。とても礼儀正しく、日本の社会に溶け込む努力を惜しみません。バングラデシュも国を挙げて日本へ労働力を送り出す環境作りをしており、日本語教育やIT技術の国家試験などを実施しています。

バングラデシュの平均月収は4万円前後なので、日本の給与は大きな魅力です。インドや東南アジアの国々の人材と同等の技術力を持っていますが、比較的安価に雇うことができるという魅力もあります。

しかしながら、日本で働くバングラデシュ人はまだまだ少ない状態です。2025年2月のデータでは、日本に入国したバングラデシュ人の在留資格は、高度専門職9名、技術・人文知識・国際業務440名、介護6名、技能14名、特定技能53名、技能実習42名のみ。日本で働く意欲を持つバングラデシュ人はとても多いため、今後は爆発的に増えていくことが予想されています。

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バングラデシュの社会

かつては世界最貧国のひとつとして知られていたバングラデシュ。日本はじめ先進国からの支援と縫製業の発展が経済成長を促した結果、世界銀行の分類で「低所得国」から「低中所得国」へと進みました。識字率の低さも問題視されていましたが、現在では約77%に上昇。教育熱心な家庭も多く、厳しい競争を勝ち抜き大学へ進学した若者へは大きな期待が寄せられています。

バングラデシュは人口ボーナス期の真っ最中ということもあり労働人口が増大していますが、国内には満足な就職先がありません。海外へ出稼ぎに行くことが主流で、「海外移住者や海外労働者からの送金がバングラデシュの貿易赤字を補填している」とも言われています。

歴史

バングラデシュは2度の独立を経験しています。かつてはインドの一部でしたが、宗教対立が激化してイスラム教への帰属意識が高まり、1947年にパキスタンとともに「東パキスタン」としてインドから独立。

そして1971年、ベンガル人としての誇りをもとにパキスタンから独立して「バングラデシュ」となりました。

宗教

バングラデシュは、穏健なイスラム教国です。南アジアで最も古いモスクのひとつがバングラデシュにあり、9世紀までにアラブ商人がイスラム教を伝えたとされています。人口の91%がイスラム教徒と言われており、その数は世界第4位を誇ります。憲法では宗教の自由も認められており、ヒンズー教徒は8%、キリスト教徒と仏教徒は合わせて1%存在。仏教徒の多くは、ミャンマー国境沿いに住む少数民族です。

バングラデシュのイスラム教はベンガル文化と融合した独特なもので、厳格なイスラム教なら禁止されている音楽や芸能が盛んです。女性の社会進出も可能で、女性の首相が何度も就任しています。

バングラデシュの国民性と仕事観

サイクロンや洪水など大規模な自然災害が起きても、くじけず何度も立ち上がるバングラデシュの人々。どのような国民性で、どんな仕事観をもって日本にやってくるのでしょうか。

国民性

バングラデシュの国民性としてまず挙げられるのは、親切で温かいということ。同情心があり困った人を何とか助けようとします。素朴で人懐こく、嘘をつかず誠実。家族や友人をとても大切にしています。忍耐強さ、礼を重んじ和を大切にする心など、日本人と共通する部分も見られます。健気に努力する姿は、多くの日本人の胸を打つでしょう。

日本人と違う点は、時間に少しルーズなところ。約束の時間に遅れても許される社会です。

仕事観

バングラデシュの人々は、家族のために仕事をします。家族に少しでも多く送金することを第一に考え、長時間労働も厭いません。仕事へは誠実に向き合い、上司によく従います。職場の和を大切にし、信頼関係を重視。責任感も強く、問題があれば何とか解決しようと努力します。

バングラデシュ人と一緒に働くときの注意点

バングラデシュの人々は宗教的価値観を大切にしています。日本にやってくるバングラデシュ人の多くはイスラム教徒ですが、中にはキリスト教徒やヒンズー教徒もいるので、まずはどの宗教に属しているのかを確認してください。個人によって宗教的価値観に大きな差があるので、まずは一人一人と面談し、日本の生活文化をどの程度受け入れることができるのか確認すると良いでしょう。

職場で注意すること

分かりやすい指示を心がけてください。日本語を学んで来る人は多いものの、全てを理解するのは難しいでしょう。短い言葉ではっきりと伝える、口頭だけではなく文章にする、図を用いるなど工夫し、理解できたかその都度確認するように。日本人の時間感覚についても来日時に伝え、時間厳守が重要なことを理解してもらいましょう。笑顔で伝えることを心がけてください。

バングラデシュの人々は職場の和を日本人以上に重視する傾向があり、皆と仲良く楽しく仕事をすることに喜びを感じます。一緒にお茶を飲んで家族の話をするなど、温かく接する時間を設けてください。

イスラム教徒の場合、1日5回の礼拝や断食などへの配慮が必要です。どうしたいのか希望を聞き、受け入れ側ができることとできないことを伝え、すり合わせを行いましょう。

生活で注意すること

大家族の中で生活することが多いバングラデシュの人々は、ひとり暮らしに慣れていません。孤独や不安、寂しさを感じてホームシックになってしまうケースがあります。仲間と一緒に過ごす時間や場所を設けるようにすると良いでしょう。

大きな生活音をたてないこと、水回りの使い方、ゴミの分別の仕方など、来日時にわかりやすく伝えることも大切です。バングラデシュと大きく違う日本の生活に戸惑うこともあるので、時々様子を見て悩みなどを聞くようにしてください。バングラデシュ人が女性の場合は必ず女性職員が対応することが重要です。

宗教によって、食べるものに違いがあります。イスラム教徒はイスラム法に則って精肉されたもの(ハラル)を食し、豚肉は口にしません。ヒンズー教徒は菜食主義が多く、肉食するとしても牛肉を食べません。

宗教的にタブーな食べ物を無理強いしないよう注意してください。調理器具の共有は、同じ宗教同士であれば可能です。野菜や香草などを栽培するスペースがあると喜ばれるでしょう。

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日本とバングラデシュの関係

日本は、バングラデシュの独立を真っ先に承認した国のひとつです。多くの国が独立による混乱を憂慮して承認に躊躇する中、日本はいち早くバングラデシュの独立を応援しました。それ以来両国は深い信頼関係が続き、現在では「戦略的パートナー」として結びついています。あらゆる国際会議でバングラデシュは日本側に立ち、日本の国連安全保障理事会常任理事国入りも支持しています。

東日本大震災の時、バングラデシュの人々は「困っている友人を助けたい」と、貧しいながらも募金活動を各地で始めました。バングラデシュ政府から日本に約1億6千万円の義援金と毛布2,000枚、長靴500足、ゴム手袋1,000組などの支援物資が贈られ、在日バングラデシュ人たちによる炊き出しなどボランティアも行われました。

政府開発援助(ODA)

日本はバングラデシュにとって最大の援助国です。2022年までの累計で、有償資金協力(低金利の資金貸付)約30,376億円、無償資金協力(資金提供)約5,123億円、技術協力約1,043億円を実施しました。大規模なインフラ整備から貧困削減・教育・医療・人材育成にいたるまで援助の内容は多岐に渡ります。国民は日本の援助をよく知っていて、日本が建設した橋を「ジャパン・ブリッジ」と呼び親しんでいます。また、日本が支援した橋や道路が切手になったり、紙幣やコインにデザインされ広く流通しています。

近年、日本は対バングラデシュ支援の目標を「中所得国となること」と設定。持続可能な経済発展への協力と、社会基盤の脆弱性を克服するため貧困、飢餓、教育、保健、ジェンダー、水・衛生への対策や防災・気候変動対策などの支援事業を実行し、成果をあげています。

まとめ

日本から直線距離で5,000㎞近く離れているバングラデシュ。日本人にはあまりなじみの無い国ですが、バングラデシュの人々からは熱い視線が注がれています。現在、日本で働くバングラデシュ人はごく少ない状態ですが、今後は増えていくことでしょう。日本を愛し日本を応援してくれているバングラデシュの人々は、日本人と似た心を持っています。日本社会に馴染み、職場に新風をもたらすことでしょう。バングラデシュからの人材確保を、ぜひご検討ください。

参考資料
厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)
外務省:バングラデシュ人民共和国(People’s Republic of Bangladesh)基礎データ
外務省:最近のバングラデシュ情勢と日バングラデシュ関係
国際協力機構:バングラデシュのIT技術者を日本に呼び込め!地方と世界をつなぐ新たな国際協力
日本貿易振興機構:注目高まるバングラデシュIT産業
長崎県庁:バングラデシュIT人材の受入「長崎県モデル」
外務省:ODA(政府開発援助)バングラデシュ
外務省:バングラデシュ政府からの義援金の寄付

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この記事の監修者

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キャリアアドバイザー
秦 秀斗

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。

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