新たな外国人材の採用先をお探しですか？人手不足が加速する日本において、ベトナムやインドネシアに次ぐ「新たな人材の宝庫」として、今、東南アジアの「東ティモール」に熱い視線が注がれています。
2025年11月、駐日東ティモール大使が高知県を訪問しました。実は高知県は、東ティモールからの技能実習生受け入れ数が日本一を誇ります。なぜ地方都市である高知が選ばれているのか。そこには、行政と連携した独自の受け入れ体制と、東ティモール人材が持つ「ある国民性」が関係していました。
この記事では、大使訪問のニュースを紐解きながら、まだ多くの競合他社が気づいていない東ティモール人材の魅力と、成功事例から学ぶ採用のヒントを解説します。
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駐日東ティモール大使が高知を訪問
2025年11月19日、東ティモールのヴィエガス駐日特命全権大使が、高知県の浜田知事を表敬訪問しました。このニュースは、単なる外交的な儀礼以上に、日本の外国人採用市場における「新しい潮流」を示唆しています。
東ティモールとはどのような国か
東ティモール（東ティモール民主共和国）は、21世紀最初の独立国として2002年に主権を回復した、比較的若い国です。インドネシアの東、オーストラリアの北に位置し、サンゴ礁に囲まれた美しい島国です。
日本からの距離は約5,000キロ。人口は約130万人と小規模ですが、若年層の人口比率が高く、これからの経済成長と人材輩出が期待されています。
大使が語る「Kochi」の認知度
今回の訪問で特に印象的だったのは、ヴィエガス大使が語った現地の状況です。
「技能実習生の人数が高知で最多なのはうれしい。もっともっと増えていくことを願っています」「東ティモールの中ではKochiという名が広く知れ渡っていて、みんながKochi Kochiと言っている」
一国の首都や観光地ではなく、日本の地方都市である「高知」の名前が現地で浸透している事実は、驚くべきことです。これは、地域を挙げた受け入れ体制が現地でポジティブに評価されている証拠と言えます。
懇談の場では、浜田知事から高知の伝統である「鳴子」が贈られ、大使からは東ティモールの伝統織物「タイス」と、主要な輸出品である「コーヒー」が贈られました。文化交流を通じた信頼関係の構築が、人材交流の土台となっています。
なぜ高知？技能実習生が全国最多
現在、高知県内に滞在する東ティモールからの技能実習生は25人（11月時点）。絶対数としてはまだ少ないように感じるかもしれませんが、これは全国最多の数字です。なぜ、大都市圏ではなく高知に人材が集まっているのでしょうか。
国内初の受け入れ事例としての先行優位性
最大の理由は、高知県がいち早く東ティモールとのパイプ作りに着手したことにあります。
高知県は2023年から、国内で初めて東ティモールからの技能実習生受け入れを開始しました。外国人採用において、特定の国とのルート確立は一朝一夕ではできません。送出し機関との提携、現地での面接体制、そして入国後の生活サポート。これらを他県に先駆けて整備した結果が、現在の数字に表れています。
浜田知事が「前任の大使は3回、4回と高知に来た」と話している通り、トップ同士の頻繁な交流が安心感を生み、継続的な人材流入につながっています。
農業・観光業での活躍
現在、実習生たちは主に以下の地域と業種で活躍しています。
・主な受入地域： 高知市、土佐市、須崎市
・従事する業種： 農業、観光業
特に農業分野では、若手労働力の不足が深刻な課題です。東ティモールはもともと農業従事者が多い国であり、作物の扱いや身体を使う作業に慣れている人材が豊富です。また、観光業においては、彼らの持ち前の明るさやホスピタリティが評価されています。
東ティモール人材の魅力とは
「ベトナムやフィリピンは採用競争が激しい。かといって、全く実績のない国から採用するのは不安だ」
そう考える人事担当者様にとって、東ティモールは非常に有望な選択肢です。今回の高知の事例や現地の特性から見える、彼らの人材としての魅力を3つのポイントで解説します。
親日的で真面目な国民性
東ティモールは、アジアで唯一、国民の大多数がカトリック教徒である国です。その影響もあり、家族やコミュニティを大切にし、規律や道徳を重んじる傾向があります。
また、独立支援の経緯などから日本に対して非常に友好的な感情を持っています。「親日」であることは、日本での生活への適応や、日本人スタッフとの関係構築において大きなアドバンテージとなります。真面目にコツコツと作業に取り組む姿勢は、日本の企業文化とも親和性が高いと言えます。
多言語への適応能力（語学ポテンシャル）
東ティモールの公用語は、現地語である「テトゥン語」と、旧宗主国の言語である「ポルトガル語」です。さらに、歴史的背景からインドネシア語を理解する人も多く、若年層では英語を話す人も増えています。
このように、日常的に複数の言語に触れる環境にあるため、新しい言語を学ぶことへの抵抗感が比較的低い傾向にあります。日本語は文法構造などが異なるため習得は簡単ではありませんが、学習意欲が高く、コミュニケーションを取ろうとする姿勢が積極的です。
ハングリー精神と就労意欲
経済発展の途上にある東ティモールでは、日本で働き、技術を身につけ、稼いだお金で家族を支えたいというモチベーションが非常に明確です。
目的意識がはっきりしているため、離職率が低く、長期的な活躍が期待できます。特に、高知県のように「モデルケース」として注目されている地域の出身者は、「国の代表」としての誇りを持って働いているケースが多く見られます。
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今後の外国人採用のヒント
今回のニュースは、単に「高知で東ティモール人が増えている」という事実以上のヒントを私たちに与えてくれます。
競争の少ない「ブルーオーシャン」を開拓する
多くの企業がベトナムやインドネシアなど、すでにルートが確立された国での採用に集中しています。しかし、競合が増えれば採用コストは上がり、優秀な人材の確保は難しくなります。
東ティモールのように、まだ開拓されきっていない国に目を向けることは、「優秀な人材を、適正なコストで採用する」ための有効な戦略です。高知県の事例は、先行者利益がいかに大きいかを物語っています。
地域・自治体との連携
外国人採用を成功させるためには、企業単独の努力だけでなく、地域社会の受け入れ体制が不可欠です。
高知県では、知事レベルでの交流や、自治体による生活サポートが行われています。企業が新たに外国人材を受け入れる際は、その地域の自治体がどのようなサポートを行っているか、あるいは地域の国際交流協会と連携できるかを確認することも重要です。地域全体で歓迎するムードがあれば、彼らの定着率は格段に向上します。
「東ティモール人材に興味はあるが、自社の業種に合うかわからない」「他の国の人材と比較したい」というご相談も増えています。国ごとの特性や、職種との相性を見極めることが、採用成功の第一歩です。
まとめ：新たな人材開拓の好機
ヴィエガス大使の高知訪問と、技能実習生受け入れ全国最多の実績。これは、東ティモールという国のポテンシャルと、それを受け入れる日本の地方企業の可能性を示す明るいニュースです。
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