マレーシア人の国民性と仕事観|外国人採用を成功させるヒントを解説

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外国人雇用を本音で語る「リクアジの編集部」の上田です。本日のトピックはこちら!

・人材ポテンシャルの大きさ
・異文化対応力と注意点
・日本との強固な関係と制度面の追い風

多様な民族や文化が共存している国、マレーシア。日本をお手本に国を発展させてきた親日国です。2022年5月、日本政府とマレーシア政府は「特定技能に係る協力覚書」を締結しました。しかし特定技能で来日しているマレーシア人の数はまだ少なく、在留外国人数のデータでは「その他」に分類されている現状にあります。マレーシアには異文化理解や言語能力に長けた若者が多いため、少子高齢化が進む日本の働き手として重宝されることは間違いありません。今後増加が予想されているマレーシア人材について、その背景や特徴、仕事観などについてまとめました。

マレーシアの基本情報

東南アジアに位置するマレーシアは、マレー半島の「西マレーシア」とボルネオ島の「東マレーシア」に分かれています。西マレーシアはタイとシンガポールの間にあり、東マレーシアはボルネオ島の北部で、ブルネイとインドネシアと国境を接しています。国土は日本より少し小さく、人口は日本の3割以下。赤道に近い熱帯雨林気候で、国土の6割はジャングルです。多民族国家としても知られており、様々な民族が仲良く共存しています。

項目内容
国名マレーシア(Malaysia)
国土約33万平方キロメートル(日本の約0.9倍)
国旗赤と白の線14本は13州とクアラルンプールを加えた数。青色はイギリス連邦を意味し、月と星はイスラム教を表している。
首都クアラルンプール
人口約3,350万人(2023年マレーシア統計局)
民族マレー系約70%(先住民12%を含む)、中華系約23%、インド系約7%(2023年マレーシア統計局)
言語マレー語(国語)、中国語、タミール語、英語
宗教イスラム教(連邦の宗教)64%、仏教19%、キリスト教9%、ヒンドゥー教6%、その他2%(2023年マレーシア統計局)
一人当たりGDP13,382米ドル

人口ボーナス期にありながら人手不足のマレーシア

マレーシアは生産年齢(15歳〜64歳)の人口が多い「人口ボーナス期」が続き、経済成長の原動力となりました。しかしながら、もともと人口が少ないマレーシアは労働力を外国人に頼っている現状です。

多民族国家特有の懐の深さで外国人労働者を受け入れており「労働人口の4人に1人は外国人」という説もあるほどです。マレーシアの人口ボーナス期は2040年まで続くという予想がある一方、2027年ごろには終わり2030年には高齢化社会に突入するという説もあります。

マレーシア人材の特徴

マレーシアの人々は英語が堪能で異文化への理解が深く、グローバルな視点を持っています。海外志向も高く、大学生の7割以上が海外で就職したいと希望。マレーシアの高度IT人材は欧米からも注目されており、優秀な若者が活躍しています。

マレーシア政府統計局は「2023年3月の月額賃金中央値は2,600リンギ(約8万600円)」と発表しました。職種や地域などによって大きく差があるものの、日本や欧米の賃金はマレーシアの若い人材にとって魅力的だと考えられます。

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マレーシアの社会

多民族国家としても知られているマレーシアは、「世界の縮小図」とも呼ばれるように様々な民族や文化が共存しています。人口の7割を占めるマレー系民族は、昔からマレーシアで暮らしていました。中華系やインド系民族の多くは、19世紀にわたってきた人々です。

公用語はマレー語ですが、英語・中国語・タミル語も通用します。各宗教の多彩なお祭りが各地で催され、民族ごとに異なるグルメも楽しめます。政情が安定し治安も良いため、日本人の海外移住先としても人気です。

歴史

マレーシアの始まりは、1396年に建国されたマラッカ王国です。マラッカ海峡が東西貿易の要衝となって大きな富をもたらし、イスラム教も浸透しました。その後、ポルトガル・オランダ・イギリスから植民地として支配され、第二次世界大戦中は日本軍が占領。1957年にマラヤ連邦として独立し、周辺地域の統合やシンガポールの分離を経て、1965年に現在のマレーシアになりました。

宗教

マレーシア政府はイスラム教を国教と定め「マレー人はイスラム教徒であるべき」としています。国民の6割がイスラム教徒で、戒律を厳格に守る人が多く、女性はヒジャブという布で髪を覆っています。

マレーシア政府はまた、マレー人以外の民族が信仰する宗教も認め、宗教それぞれの重要な祭祀日を祝日に指定。中華系民族は仏教や道教を、インド系はヒンドゥー教、そしてキリスト教は中華系やインド系、東マレーシアの先住民族などが信仰しています。

マレーシアの国民性と仕事観

様々な民族や宗教が入り混じる社会で暮らすマレーシアの人々は、どのような国民性なのでしょうか。そして、仕事に対してはどのような価値観を持っているのでしょうか。

国民性

民族によって多少の違いはあるものの、マレーシアの人々は総じて異文化に寛容で、争いを好みません。自分とは異なる価値観への抵抗が無く、調和を大切にします。穏やかで親しみやすく、優しい印象です。シャイな人が多い傾向も。

仕事観

マレーシアの人々は、家族の為に仕事をしています。より良い生活を送るため、少しでも良い条件の仕事を選びます。家族や宗教行事を優先して仕事を休むことに抵抗はありません。

また、民族ごとに仕事観が違うとも言われています。マレー系民族は安定志向が高く公務員希望者が多い傾向。中華系はビジネス志向が強く、成果や競争を重視します。インド系は教育熱心で専門職への関心が高く、努力家が多いと言われています。

マレーシア人と一緒に働くときの注意点

マレーシア人と働くとき、彼らの属する民族や宗教を把握する必要があります。宗教に関するジョークなどは避けてください。マレー系の殆どはイスラム教徒で、豚肉・飲酒が禁止。犬に触れるのもタブーです。

1日5回の祈りの時間と場所が必要です。ラマダン(断食月)への配慮も必要となります。インド系はヒンドゥー教が多く、牛肉はタブーで菜食主義者も多数。中華系は仏教徒が多く、日本の生活に馴染みやすいと言われています。

職場で注意すること

腰に手を当てると、怒っていると思われるので注意しましょう。人前で叱りつけるとショックで萎縮してしまうので、個別に呼び出して穏やかに話をしてください。

指示はわかりやすく丁寧に。遅刻しても気にしない傾向にあるので、来日時に日本の時間感覚をしっかり教えましょう。

生活で注意すること

頭は神聖なので触れないこと。子どもであっても頭を撫でてはいけません。左手で触れたり、物を渡すのもタブーです。マレーシア人が女性の場合、生活指導や相談相手などは必ず女性職員が行ってください。

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日本とマレーシアの関係

マレーシアにとって日本は特別な存在だと言われています。第二次世界大戦時に日本がマレーシアを占領。そして、1957年にマレーシアが独立した時、一番初めに国交を樹立したのも日本でした。現在、日本とマレーシアは「包括的・戦略的パートナーシップ」の関係です。

ルック・イースト政策

マレーシアは、日本をお手本に近代化を遂げました。1981年、マハティール首相(当時)が「ルック・イースト政策(東方政策)」を提唱。旧宗主国のイギリスではなく、同じアジアである日本や韓国の発展をお手本に国造りをしたのです。日本の勤勉な労働観、高い学習意欲、倫理観、集団意識、そして優れた経営能力をマレーシアにもたらすため、数多くの留学生を日本に送りました。大前研一氏がマハティール首相の参謀役を18年間勤めたことも良く知られています。

マハティール首相は2018年、92歳で首相に返り咲き、ルック・イースト政策をさらに強化すると表明しました。日本の学生に「日本人であることに誇りを持て」と演説したり、欧州・ 東アジア経済フォーラムで「もし日本なかりせば(日本の無い世界を想像したらよい)」と、日本が世界にもたらした素晴らしい影響などについて発言しました。

マレーシアへのODA(政府開発援助)

日本政府はマレーシアに対し、2021年までの累計で「有償資金協力9,238億円」「無償資金協力153億円」「技術協力:1,211億円」の支援を実施しました。発電所などの大規模インフラ整備や、教育・医療・福祉・環境などのきめ細かい協力まで、多岐に渡る分野でマレーシアの発展に寄与しています。

まとめ

特定技能や技能実習生などで来日するマレーシア人はまだまだ少数ですが、今後は増加する見込みです。和を重んじ、目上の者を敬う文化を持っているマレーシアの若者は、労働力不足の日本で素晴らしい戦力となります。多民族国家で培ったグローバルな視点を持つマレーシアの若者と一緒に仕事をしてみませんか?日本の職場に新たな価値観をもたらすでしょう。

参考資料
厚生労働省:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和6年10月末時点)
外務省:マレーシア(Malaysia)基礎データ
JETRO:マレーシアにおける高度人材
アジア経済研究所:マレーシアの外国人労働者
JETRO:統計局、正規雇用者の月額賃金データを初公表
マレーシア政府観光局:マレーシア基本情報
在マレーシア日本国大使館:7.風俗・習慣・国民性に関する留意事項
在マレーシア日本国大使館:1.東方政策の概要

この記事の監修者

プロフィールカード
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キャリアアドバイザー
秦 秀斗

大学卒業後、経営コンサルティング会社に入社し、企業の経営支援に携わる。その後、dodaを運営するパーソルキャリアにて、様々な方の転職支援に従事。その経験を活かし、株式会社JINにて、人材事業を開始。

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