「うちの業界も人手不足が深刻だ…」と感じていませんか？
JR四国が鉄道の保守・点検業務に「特定技能」ビザを持つ外国人の受け入れを開始すると報じられました。これまで限定的だったインフラ業界でも、外国人採用が本格化しています。これはもはや、一部の業界だけの話ではありません。この記事では、JR四国の最新事例を元に、外国人採用の具体的な流れや、多くの企業が直面するデメリットとその対策、そして初めての外国人採用を成功に導くための採用ノウハウまでを分かりやすく解説します。
【JR四国】ついに鉄道業界でも特定技能外国人の受入れ開始
JR四国が鉄道設備の保守・点検作業を担う人材として、在留資格「特定技能」を持つ外国人材を初めて受け入れる方針を固めたことが報じられました。これは、日本の基幹インフラを支える鉄道業界における、大きな転換点と言えます。
（引用元：NHK NEWS WEB「ＪＲ四国 鉄道の保守・点検「特定技能」外国人材を受け入れへ」）
背景にあるのは深刻な人手不足
今回の決定の背景には、日本の多くの産業と同様、鉄道業界が直面する極めて深刻な人手不足があります。
特に、地方路線を多く抱える鉄道会社では、若年層の労働人口減少が事業の存続に直結する問題となっています。中でも線路や信号、車両などを日々点検する保守部門は、専門性が高く、天候に関わらず屋外での作業も多いことから、人材の確保と定着が特に難しい領域でした。
安全運行を支える技術系人材の確保が急務
鉄道の安全運行は、これら技術系人材による日々の地道な保守・点検作業によって支えられています。ベテラン社員の技術をいかにして若手に継承していくかは、長年の課題でした。
国内の日本人だけでは必要な人員を確保し、技術を未来に繋ぐことが困難になる中、JR四国は事業継続と安全確保のための重要な一手として、外国人採用に踏み切ったのです。
国が鉄道分野を新たに追加した理由
これまで「特定技能」の対象分野は、介護、建設、農業など12分野に限定されていました。しかし、鉄道業界からの強い要望と、社会インフラ維持の重要性を鑑み、国は2023年に新たに対象分野として「鉄道」を追加しました。
これにより、運転士や駅員といった業務だけでなく、軌道（線路）や電気、車両の保守といった、より専門的で現場に近い業務での外国人材の就労が可能になりました。これは、即戦力となる人材を確保したい企業側のニーズと、専門スキルを活かして日本で働きたい外国人のニーズが合致した結果と言えます。
JRの事例から学ぶ外国人採用のメリット・デメリット
今回の事例は、他業種で外国人採用を検討している企業にとっても多くの学びがあります。改めてメリットと、注意すべきデメリットを確認しましょう。
メリット：安定的な人材確保と組織活性化
人材不足の解消において最大のメリットは、採用の母集団を国外へ広げることで、若く意欲的な人材を確保できる可能性が格段に高まる点です。国内採用だけでは出会えなかった優秀な人材と巡り会えるチャンスが生まれます。
また、異なる文化背景を持つ人材が加わることで新しい視点がもたらされ、日本人にとっての「当たり前」に疑問が投げかけられ、業務改善のきっかけになることもあります。
デメリット：文化や言語の壁への対策は必須
もちろん、良いことばかりではありません。外国人採用で多くの企業が直面する最大のデメリットは、文化や言語の違いによるコミュニケーションの壁です。
・言語の壁：業務指示が正確に伝わらなかったり、安全に関する重要な注意喚起が理解されなかったりすると、業務の質が低下するだけでなく、重大な事故に繋がるリスクもあります。
・文化の壁：「時間を守る」「報告・連絡・相談を徹底する」といった日本のビジネス文化が、必ずしも世界の常識とは限りません。また、宗教上の理由による食事の制限（ハラルなど）や祈りの時間への配慮も必要になります。
これらの「壁」を放置すると、日本人社員との間に溝が生まれ、最悪の場合、採用した人材が孤立し、早期離職に至ってしまいます。
まとめ：人手不足解消の切り札として広がる外国人採用
今回はJR四国の事例を元に、外国人採用の最新動向と、成功のための採用ノウハウを解説しました。鉄道という日本の基幹インフラでさえ、外国人材の力が必要不可欠な時代です。これは、あらゆる業界にとって、もはや他人事ではありません。
もちろん、文化や言語の違いといったデメリットもありますが、事前の周到な準備と、入社後の丁寧で継続的なサポートがあれば、それらは十分に乗り越えることが可能です。
深刻化する人手不足に本気で向き合うなら、外国人採用は企業の未来を切り拓く、非常に有力な選択肢となるはずです。
