
深刻なバス運転士不足の解決策として、今「外国人採用」が大きな注目を集めています。東急バスは、在留資格「特定技能」を活用し、インドネシアから3名の運転士候補生を受け入れました。その中には、特定技能制度で日本初となる外国人女性運転士も含まれており、2026年3月のデビューを予定しています。
本記事では、東急バスの事例をもとに、外国人ドライバー採用のポイントや研修の進め方、そして企業が準備すべきことをわかりやすく解説します。
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東急バスが特定技能で3名を受け入れ
2026年1月15日、東急バス株式会社は、在留資格「特定技能」による外国人バス運転士候補者の第1弾として、インドネシアから3名を受け入れたと発表しました。
日本国内で人手が足りない特定の業界(運送、建設、介護など)において、即戦力として働く外国人のための在留資格(日本に滞在して働くための許可)のことです。
今回の受け入れは、2024年より「自動車運送業(バス・タクシー・トラック)」が特定技能の対象に追加されて以来、業界でも非常に先進的な取り組みとして注目されています。

日本初の女性外国人運転士が誕生へ
今回のニュースで最も大きなトピックは、特定技能制度において日本初となる「外国人女性」のバス運転士が誕生する点です。
採用されたのは、インドネシア国籍のマハトミ・リスマルタンティさん(26)。彼女はすでに日本に入国しており、2026年3月の営業デビューを目指して厳しい研修に励んでいます。これまで男性中心だった日本のバス運転士という職業に、外国籍の女性が加わることは、ダイバーシティ(多様性)の観点からも非常に意義があることです。
インドネシアから即戦力候補を採用
今回東急バスに入社したのは、インドネシア国籍の男性2名、女性1名の計3名です。彼らは2025年9月16日に入国し、同時に入社を果たしました。
インドネシアは親日国として知られ、若年層の人口が多く、日本での就労意欲が高い人材が豊富です。東急バスは、現地の送り出し機関(人材紹介のような組織)と連携し、質の高い人材を確保することに成功しています。

採用に必要な資格と日本語レベル
「外国人にバスの運転を任せて大丈夫だろうか?」と不安に思う担当者の方も多いかもしれません。しかし、特定技能で働く外国人は、厳しい試験と語学基準をクリアしています。
日本語能力試験N3以上の高い語学力
今回の候補者3名は、全員が日本語能力試験(JLPT)で「N3」以上の資格を持っています。
N3レベルの目安: 日常的な場面で使われる日本語をある程度理解できるレベル。同僚とのコミュニケーションや、運行上の指示を理解するのに最低限必要な基準と言えます。
さらに、乗客との接客が発生するバス運転士には、運転技術だけでなく「おもてなしの心」や「状況に応じたアナウンス」も求められます。東急バスでは、N3をベースとしつつ、入国後のさらなる語学研修も実施しています。
自動車運送業の特定技能試験に合格
候補者は全員、「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」に合格しています。これは、運転に関する基本的な知識だけでなく、日本の交通ルールや安全管理、接客マナーなどを問う専門的な試験です。
この試験に合格しているということは、すでに「日本のバス運転士として働くための基礎知識」を習得している証明になります。
入国からデビューまでの研修体制
東急バスの事例で特筆すべきは、その「手厚い教育・研修体制」です。単に「運転免許を取らせる」だけでなく、日本の文化や企業の考え方を深く理解してもらうプロセスを重視しています。

実技教習を経てデビューを予定
入国後、すぐに公道を走るわけではありません。東急バスでは以下のようなステップでデビューを目指しています。
- 入国・入社(2025年9月): 日本での生活基盤を整え、座学研修を開始。
- 実技教習(2026年1月中旬~): 教習所や敷地内での運転トレーニング。
- 営業所配属・添乗研修: 実際の路線を教官と同乗して走行。
- 単独デビュー(2026年3月中旬以降): 厳しい社内検定をクリアした後にプロとしてデビュー。
このように、半年以上の時間をかけてじっくりと育成する体制は、安全第一を掲げる日本の運輸業において、信頼を勝ち取るための重要なポイントです。
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運輸業界が外国人採用に踏み切るべき理由
なぜ、東急バスのような大手企業が、これほどの手間とコストをかけてまで外国人採用を進めるのでしょうか。そこには、日本の運輸業界が直面している「2024年問題(※2)」への危機感があります。
(※2)2024年問題とは?
働き方改革によって、ドライバーの残業時間に上限が設定されたことで、これまで通りの運行ができなくなったり、物流が滞ったりする問題のことです。
深刻な若手不足の解消
日本のバス・運輸業界では、運転士の高齢化が進み、定年退職による人材流出が大きな課題となっています。一方、特定技能で来日する外国人材は20〜30代が中心で、体力面・将来性の両面で期待できます。
若手人材を計画的に受け入れることで、組織の年齢構成を改善し、長期的に安定した運行体制を築くことが可能になります。これは単なる人手不足対策ではなく、将来への投資とも言えます。
ダイバーシティによる組織の活性化
外国出身のスタッフが加わることで、職場にはこれまでになかった新しい視点が生まれます。日本人にとっては「当たり前」だった業務ルールや仕事の進め方を、改めて言語化・整理する必要が出てくるため、教育体制やマニュアルの見直しにもつながります。
その過程で、日本人スタッフ自身の説明力や指導力が磨かれ、結果として職場全体のコミュニケーションの質やチーム力の向上が期待できます。
多言語対応への期待
インバウンド(訪日外国人客)が増加する中、英語や母国語を話せる運転士の存在は大きな強みになります。東急バスのように、まずはインドネシアやネパールといった特定の国から受け入れを始めることで、そのコミュニティに強い企業としてのブランディングも可能です。
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外国人採用を成功させるための「3つの準備」
東急バスの事例のように、スムーズな受け入れを行うためには、企業側にも準備が必要です。初めて外国人採用を検討する担当者様は、以下の3点を意識してください。

教育プログラムの整備
外国人材の受け入れにおいて、「見て覚えろ」といった暗黙知に頼る指導方法は通用しません。業務内容やルールを明確に言語化し、誰でも理解できる形で伝えることが重要です。具体的には、マニュアルの多言語化や平易な日本語への書き換え、写真や図解を多用した教材の整備が効果的です。
さらに、東急バスの事例のように動画教材を活用することで、業務の流れや注意点を視覚的に学べるため、理解度と習熟スピードは大きく向上します。こうした教育体制の整備は、外国人材だけでなく、日本人スタッフにとっても分かりやすい職場づくりにつながります。
住居と生活サポートの提供
外国人材が日本で安心して働くためには、仕事だけでなく生活面のサポートが欠かせません。住居の確保や銀行口座の開設、役所での各種手続きなどは、日本の制度に不慣れな外国人にとって大きなハードルになります。
これらを企業が直接支援する、もしくは信頼できる登録支援機関に委託することで、入社後の不安やトラブルを防ぐことができます。生活基盤を整えることは、早期離職の防止や定着率向上にも直結します。

社内の理解とコミュニケーション
現場のスタッフが「外国人が入ることで自分の仕事がどう変わるのか」を正しく理解していないと、摩擦の原因になります。事前に「なぜ外国人採用が必要なのか」を説明し、現場で使う言葉を「やさしい日本語」に統一するなどの配慮が求められます。
まとめ:運輸業の外国人採用を成功させる
東急バスの事例は、特定技能制度を活用することで、性別を問わず優秀な外国人材が日本のインフラを支える力になることを証明しています。
「人手不足で路線の維持が難しい」「若手が集まらない」という課題を抱えているのであれば、外国人採用はもはや「選択肢の一つ」ではなく、「生き残るための必須戦略」と言えるかもしれません。
情報出典元:
東急バス株式会社 プレスリリース(2026年1月15日発表)
東急バス公式YouTubeチャンネル
国土交通省「自動車運送業分野における特定技能の受け入れについて」
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