外国人バス運転手受入れ最新動向｜N4解禁と採用ポイント

バス・タクシー運行を続けたいが「ドライバーがいない…」。そんな悩みを持つ交通・物流企業に朗報です。政府は特定技能ドライバーの日本語要件をN4レベルまで緩和し、さらに“日本語サポーター”同乗制度を新設しました。本記事では制度変更の狙いと実務への影響をわかりやすく解説し、採用担当者が今日から着手できる具体策をまとめます。

・最新制度：日本語要件がN3→N4へ緩和された背景
・企業メリット：運転手不足を補う採用効果と安全運行を支えるサポーター制度

特定技能ドライバー受け入れ拡大の背景

バス・タクシー業界では高齢化と労働環境の厳しさが重なり、毎年およそ3,000人ずつドライバーが減少しています。その結果、年間約2,500km分の路線が廃止され、地域インフラの維持が限界に近づいています。

国土交通省はこの危機を乗り切るため、今後5年間で最大24,500人の外国人ドライバーを特定技能で受け入れる計画を発表しました。公共交通が担う生活基盤を守るには、外国人採用の活用が不可欠というのが政府の共通認識になりつつあります。

深刻な人手不足と路線廃止の現状

現在、評価試験に合格した外国人はバス171人・タクシー82人の計253人ですが、実際に特定技能の在留資格を得て乗務できたのはわずか3人にとどまります。適格者がいても、日本語要件やビザ申請の煩雑さが壁となり、採用現場で停滞が起きているのが実情です。

このままでは住民の移動手段がさらに縮小し、高齢者や観光客の足が奪われる恐れがあります。そのため、制度運用のスピードアップと企業側の迅速な受け入れ体制整備が喫緊の課題です。

新要件「N4＋日本語サポーター」の概要

2025年6月11日の有識者会議で示された案では、これまで必須だった日本語能力試験N3に加え、N4レベルでも乗務を認める方針が示されました。N4取得者が乗務する場合は、日本語サポーターの同乗が義務付けられます。サポーターには運転手OBや事務員、バスガイドなど日本人スタッフを想定し、接客対応や緊急時の通訳を補助します。

離島や半島部など事故率の低い地域では単独乗務も検討され、安全と労働力確保の両立を図る仕組みです。

採用拡大と多言語サービス向上

N3取得には約600〜800時間、日本語学校へ通うコストも大きく、企業は採用・渡航まで長いリードタイムを抱えていました。N4解禁によって学習負担がほぼ半減し、海外採用のスピードが大幅に向上します。

さらに、N4レベルでもサポーターと連携することで接客品質を確保できるため、インバウンド需要が高い観光路線では多言語サービスとして評価が向上し、顧客満足度の底上げが期待できます。

同乗サポーター制度の実務ポイント

サポーター選定では、運転経験3年以上のOBや日本語検定2級以上の社員が理想的です。研修では緊急対応マニュアルや車載翻訳アプリの操作方法を共有し、乗務当日から円滑なサポートが可能な体制をつくります。同乗義務期間を「N3取得まで最長2年」と定めておくと労務管理が明確になり、36協定違反のリスクも抑制できます。

企業が今すぐ準備すべき3つのステップ

①採用計画とトレーニング体制を固める

まず、自社路線ごとの乗務シフトを分析し、必要人数と配置計画を明文化してください。そのうえでN4候補者向けにオンライン面接や適性テストを実施し、安全運転への意識や接客対応力を事前に確認します。

入社後6か月でN3取得を目指す研修カリキュラムを組むことで、本人の学習意欲を高めつつ企業側の教育コストも見通せます。

②ビザ・免許・研修フローを整理する

特定技能の在留資格取得は「評価試験合格→技能試験→在留申請」の順で進み、平均4〜6か月を要します。2024年度から第二種免許の学科試験は最大20言語で受験可能になり、外国人でも受験ハードルが下がりました。

免許取得後は運輸支局指定の15日間研修を必ず受講し、法令遵守と安全運行の基礎を学びます。書類テンプレートを共有フォルダにまとめておくと、手続きの属人化を防げます。

③事故防止とCS向上を両立するサポート体制

テレマティクス端末で急ブレーキや速度超過をリアルタイムで検知し、管理者が即座にフィードバックできる仕組みを構築します。翻訳アプリとピクトグラムを車内に常備し、言語障壁によるトラブルを低減しましょう。

月次でサポーター・運転手・運行管理者がデータと顧客アンケートを共有し、改善策を反映させるPDCAサイクルを回すことで、安全性とサービス品質を同時に高められます。

まとめ

日本語要件緩和とサポーター制度の導入により、特定技能ドライバーの活用は「待ったなし」の状況となりました。人手不足に直面する企業は、採用計画の再構築と社内体制の拡充を急ぐことで、安定運行とサービス向上の両立を図れます。疑問や課題があれば、リクアジ編集部までお気軽にご連絡ください。最新情報と具体的なノウハウで、御社の外国人採用を全面的にサポートいたします。