【技能実習生が来ない】茨城・鉾田市の農家が直面する危機

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実習生が激減する鉾田市の現状

茨城県鉾田市は、野菜の農業産出額で全国1位を何度も獲得し、「日本でいちばん野菜をつくる街」として知られています。ところが、新型コロナウイルス流行を境に、これまで大きく依存していた外国人技能実習生の数が急減し、多くの農家が人手不足に陥っています。

市によると、人口約4万7000人のうち6%以上が技能実習生ですが、中でもベトナム人の割合が以前に比べて大きく減少し、インドネシア人実習生に取って代わられつつあるとの声もあります。

ベトナム人が「茨城に行きたくない」理由

農家の現場では「田舎での生活を敬遠される」「冬の寒さが嫌われる」といった理由が多く挙がっています。さらに背景には、日本の賃金水準が他国と比較して相対的に下がっていることがあるようです。

かつては送り出し機関が渡航費を負担し、積極的に日本企業や農家に人材を紹介していましたが、現在は状況が一変。「地方の環境では応募者が集まらない」という声が増え、企業側が自費で現地へ面接に行っても成果が上がらないケースが多いといわれます。

受け入れ先の苦悩と制度改正の行方

実習生を確保するために、受け入れ先が多額の費用を投資して住環境を整備する例も珍しくありません。しかし、その費用を賃金や待遇に十分反映できず、結果としてモチベーションが下がる、あるいは失踪されるリスクも高まっています。

政府は「技能実習制度」の廃止と「育成就労」制度の導入を進め、外国人労働者の受け入れ拡大を目指しているものの、賃金や労働環境が改善されない限り、技能実習生の確保は難しいという声が根強いのが現状です。

まとめ

  • 茨城県鉾田市の農家は外国人技能実習生に大きく依存してきた
  • コロナ禍以降、ベトナム人を中心とする実習生の応募が減少
  • 「田舎」「寒い地域」への忌避や、日本の賃金競争力低下が要因
  • 制度改革だけでなく、実際の待遇改善や地域の魅力向上が不可欠

鉾田市だけでなく、地方の農業現場全体が同様の課題を抱えています。日本国内で人材不足が進むなか、今後は待遇面だけでなく、地域の住みやすさや魅力発信など、総合的な取り組みが急務といえるでしょう。

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